1998年、アメリカMOCA「戦後の世界展」に世界の四大アーティストの一人に選ばれた嶋本昭三さん。フェリシモで数々のプロジェクトをともにしてきた芸術家は日本の現代アートに多大な影響を与えた「具体美術」創立者のひとりです。 2008年上海にてフェリシモと共同制作した作品「ART WALL」。自身も「私の生涯の作品の中での最大級最上級の傑作である」と発表しました。ライトアップされた約400枚の正方形アルミニウムコーティングキャンバス作品は、まるで日本と中国の架け橋のようにも見え「赤いオーロラ」と称されました。世界中の国境や思想の壁、差別という壁、そして自身の年齢の壁を超えた渾身の巨大なメッセージアート作品の数々はフェリシモの大切な宝となりました。 もうひとつ思い出深いのは日本ユネスコ・フェリシモ美術館共催で、フランスの城でのコラボレーションアート宣言です。世界の2000年元旦の新聞をならべアート作品を制作。作品はパリ・ユネスコにて展示されました。絵筆を使わずボトルにペンキを入れて投げつけて製作する唯一無二の画法です。世紀が変わる瞬間、彼は世界の中心でアートと願いを唱え、それからなくなるまで芸術にささげ、亡くなりました。 彼が描いた断片を後世に伝えていくのもフェリシモの文化的使命かもしれません。 プロフィール▼ 1928年大阪市生まれ。1954年、具体美術協会結成に参加。以後、従来の美術の概念を超えたさまざまな創作やパフォーマンス活動を展開する。ポンピドゥー・センター(パリ)をはじめ、国内外にコレクション多数。京都教育大学名誉教授、宝塚造形芸術大学名誉教授、エイブル・アート・ジャパン会長。2013年1月25日85歳没。